現在では、たとえ不利益な変更であっても、それに合理性が認められる限り、労働者は変更後の就業規則規定に従わなくてはならないとの原則を土台として、合理性の中身についても、我が国社会における一般的状況等を総合考慮して決定すべきであるとしています。
最高裁判決(最三小判昭和63・2・16 大曲市農協事件)において、合理性は就業規則変更の必要性と内容の双方から判断しなければならないこと、賃金や退職金など労働者にとって重要な権利や労働条件に実質的な不利益をもたらすような変更は、よほど「高度の必要性」に基づいた合理性が認められない限り従業員を拘束しないことなどを明示し、合理性判断の基本的な制約を示しました。
さらに、この問題の集大成とも言える最二小判平成9・2・28 第四銀行事件において最高裁は、「合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して決定すべきである」との判断基準を示しました。 |