2012年 春季号
◆有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、労働者の申込みにより無期労働契約に転換する仕組みを導入する。労働契約法の一部を改正する。
このことは、有期労働契約を長期にわたり反復更新した場合における無期労働契約への転換などを法定化することにより、労働者が安心して働き続けることが可能な社会の実現を図ることを目的にしたものです。
○厚生労働省は、「労働契約法の一部を改正する法律案要綱」の答申を踏まえ、開会中の通常国会に、改正法案が3月23日に提出された。
― 法律案要綱のポイント ―
1.有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合(※1)は、労働者の申込み
により無期労働契約(※2)に転換する仕組みを導入する。
(※1)但し、原則として、6カ月以上の空白期間(クーリング期間)があるときは、前の契約期間を通算しない。このクーリング期間がある場合は反復更新したとは見なさないことになる。
(※2)別段の定めがない限り、従前と同一の労働条件で転換する。
2.「雇止め法理」の法定化
雇止め法理(判例法理)(※)を法制化する。
(※)有期労働契約の反復更新により無期労働契約と実質的に異ならない状態
で存在している場合、または有期労働契約の期間満了後の雇用継続につき、
合理的期待が認められる場合には、解雇権濫用法理を類推して、雇止めを制限
する法理。
3.期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
有期労働契約の労働条件が、期間の定めがあることにより無期契約労働者の労
働条件と相違する場合、その相違は、職務の内容や配置の変更の範囲等を考慮
して、不合理と認められるものであってはならないものとする。
◆労働者派遣法改正案は、3月28日、参議院本会議で賛成多数で可決し成立した。公布後、半年以内に施行される予定。
― 改正法の要綱のポイント ―
1.事業規制の強化
登録型派遣の原則禁止(専門26業務等は例外)(削除)
製造業務派遣の原則禁止(常時雇用(1年を超える)の労働者派遣は例外)
(削除)
- 日雇派遣(日々又は30日以内の期限を定めて雇用する労働者派遣)の
原則禁止/短期派遣の禁止
- グループ企業内派遣の8割規制、離職した労働者を離職後1年後に派遣
労働者として受け入れることを禁止
2.派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善
- 派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換
推進措置を努力義務化
- 派遣労働者の賃金の決定にあたり、同種の業務に従事する派遣先の労働者
との均衡を考慮
- 派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の派遣料金に占める割合(いわゆる
マージン率)などの情報公開を義務化
- 雇入れ等の際、派遣労働者に対して、1人当たりの派遣料金の額を明示
3.違法派遣に対する迅速・的確な対応
- 違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら派遣労働者を受け
入れている場合には、派遣先が派遣労働者に対して労働契約を申し込ん
だものとみなす
- 処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格事由を整備
【修正されて可決】→この部分の施行は、法律施行日の3年後
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