2011年 新春号
東日本大震災は未曾有の大災害をもたらしました。被災された方々は、苦境の中、再建・復興をめざして、立ち上がっています。営業再建、労働者の雇用・生活支援や社会保険等の減免など、再建するために活用できる「被災者支援制度」をまとめ、主なものを紹介します。
― 「り災証明書」は必ずもらって下さい/各自治体が証明・交付 ―
◇労働者の雇用、生活支援
*雇用保険の失業給付の特例
― 離職していなくても受け取れます ―
- 事業所が被災し、休業を余儀なくされ、賃金を受け取れない方は、実際に離職していなくても失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取れます。
- 一時的に離職した方も、事業再開後の再雇用が予定されている場合でも、失業給付を受け取れます。受給にあたっては、働いていた事業所の「休業証明書」「離職証明書」が必要です。事業主から受け取れる状態にない場合は、ハローワークに相談してください。
*労災保険の適用
― 勤務中に震災被害にあわれた方は適用されます ―
- 大震災で事業所や作業場が倒壊、消失したり、大津波で流失したりして勤務中に被害にあった人については、労災保険の適用になります。
- 適用になれば、遺族年金や一時金、葬祭料のほか、けがの療養費や休業補償が支払われます。行方不明者は、不明になったときから1年後に死亡とみなされた場合に請求できます。今回は特例として1年以内でも認定することを検討しています。
- 厚生労働省は、事業主や医療機関の証明がなくても労災保険の申請を受理する、としています。近くの労働基準監督署に問い合わせください。
*未払い賃金の立て替え払い制度
― 未払い賃金の一部を国が立て替えます ―
- 企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者は、未払い賃金の一部を国に立て替え払いを求めることができます。
- 対象となるのは、被災地域で、事業活動が停止し再開する見込みがなく、賃金を支払う力がない中小企業で働いていた労働者です。
- 申請先は、労働基準監督署です。近くの労働基準監督署に問い合わせてください。
◇社会保険等の減免
*社会保険料
― 社会保険料の納付期限が延長されます ―
- 要件/@2011年3月11日以降に納付期限が到来するもの。A青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に事業所がある事業者や被保険者など。
- また、報道では、社会保険料の減免の動きもありますので、注視が必要です。
*労働保険料
― 労働保険料の納付期限が延長されます ―
- 要件/@2011年3月11日以降に納付期限が到来するもの。A青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に事業所がある事業者や被保険者など。
*国民健康保険料(税)
国民健康保険料(税)の減免、徴集猶予、納付期限の延長などができます。詳しくは各市区町村へお問い合わせください。
*国民年金保険料
― 国民年金保険料が免除されます ―
- 対象/災害により、住宅、家財、その他の財産について、おおむね1/2以上の損害を受けた人。
- 必要書類/国民年金保険料免除申請書、被災状況届(国民年金保険料免除申請用)。いずれも日本年金機構のホームページより入手可能。
- 申請期限/2011年7月末まで(免除期間*2011年2月〜6月分)
- 窓口/各市区町村、年金事務所
◇営業再建に役立つ制度
*雇用調整助成金
― 中小企業では国が休業手当の8割を助成します ―
- 被災した事業主が休業手当等を支払い、雇用を維持しようとする場合、その額の一定割合が国から助成されます。
- 対象/今回の震災などで最近1カ月の生産量・売上高等がその直前の1ヶ月または前年同月比と比べ5%以上減少する見込みの事業所です。
- 助成額
[大企業]@休業手当の3分の2(上限1日7505円)、A教育訓練を行う場合/上記の金額に1日4000円加算(事業内訓練は2000円) [中小企業/緊急雇用安定助成金]@休業手当の5分の4(上限1日7505円)、A教育訓練を行う場合/上記の金額に1日6000円加算(企業内訓練は3000円)
- 労働局またはハローワークにお問い合わせください。
*セーフティーネット保証(5号)
― 保証協会が100%保証します。一般保証とは別枠です ―
- 限度額/無担保8000万円、最大で2億8000万円/柔軟に対応する
- 対象者/82業種(原則全業種)に属し、かつ、売上高が一定程度減少(前年同月比5%以上減少など)していることを、市区町村長から認定を受けた中小企業者。
- 保証期間/特段の定めはないが、運転資金5年、設備資金7年以内、据置期間1年以内で運用している場合が多い。
- 保証料/特段の定めはないが、おおむね0,8%以下で最大でも1%
- 要件/@最近3カ月の売上高などが前年同期比に比べ5%以上減少A東日本大地震の発生後、原則として最近1カ月の売上高等が前年同月に比べて20%以上減少し、かつその後2カ月間を含む3ヶ月間の売上高など、前年同期に比べて20%以上の減が見込まれること。いずれかを満たす要件。
- 必要書類/り災証明が必要です。
*日本政策金融公庫
― 「災害復旧貸付」及び「農林漁業セーフティーネット資金」 ―
<国民生活事業>
- 適用できる制度/災害復旧貸付
- 融資限度/3000万円
- 融資期間/10年以内
<中小企業事業>
- 適用できる制度/災害復旧貸付
- 融資限度/1億5000万円
- 融資期間/10年以内
<農林漁業事業>
- 適用できる制度/農林漁業セーフティーネット資金
- 融資限度/[一般]300万円[特認]年間経営費等の3/12以内
- 融資期間/10年以内
◇被災者への生活支援
― @緊急小口資金(10万円/特例20万円以内)/A医療費の窓口無料制度/B生活保護の申請 ―
◇税金の減免
― 国税庁のホームページ参照 ―
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