2008年 夏季号
☆就業規則の整備が新たな課題になっています!
平成19年度の「個別労働紛争解決制度施行状況」によると、総相談件数は
99,5万件、民事上の個別紛争関係が19,8万件で、過去最多となってい
ます。最近は事業主の相談コーナー活用が増えており、30万件台になってい
ます。相談内容では解雇関係が減少するが、いじめ・いやがらせ事案が増加し
ています。この個別労働紛争を未然に防止するためには、就業規則を、時代と
事業の現実に即した内容に整備する課題が生じています。また、労働契約法や
パートタイム労働法、男女雇用機会均等法、最低賃金法等の改定によって、
従来の労働慣行を改めるなど就業規則の見直しを迫られています。
<就業規則/整備すべき諸課題>
○労働契約法/今年の3月に施行され、第7条において「合理的な労働条件が
定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容
は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」。今後、労働契約上
就業規則の位置付けが明確になり、合理的条件整備と周知がカギ。
○労働時間 ― 長時間労働・過重労働の問題/過労死・過労自殺増加/うつ
病発生危険増大/企業の健康安全配慮義務が問われる/トヨタ自動車の「創意
くふう提案」や「QCサークル活動」は「使用者の支配下における業務」と認
定[平成19年11月30日、名古屋地裁判決、過労死確定]/電通事件[平成
12年3月24日最高裁第2小法廷、過労自殺による損害賠償訴訟、使用者の
全面敗訴] ― サービス残業の問題/この五年程、労働監督行政の最重要な
課題/ミズノ(スポーツ用品の大手)。社員約2千人に対する残業代の不払い
が、過去2年間で計18億6千万円あったと発表した。労務管理体制が不十分
として、役員報酬を1ヶ月間、30%〜10%減額する処分を決めた。(08
2,29)/一人の勇気ある告発がきっかけとなり、全従業員に残業代を支払わ
せる―首都圏美容師ユニオン(首都圏青年ユニオンに加入)は17日、厚生労働省
内で記者会見し、大手美容室チェーン「Ash(アッシュ)」で働く美容師33人全員を
対象に、約4800百万円の残業代支払いを勝ち取ったことを発表しました。(08,
1, 18)/改善策(平成20年労働時間改善指針)@実態の把握・全社で時間
外就業申請書を事前申請・1週間ごとに部門長がチェック。A有給休暇の
取得率を上げる。B時間外労働の削減。C労働時間の管理の適正化。Dワークシェアリング、在宅勤務、テレワーク等の活用。
○管理監督者「労働基準法41条2号/労働時間・休憩・休日/適用除外」
/日本マクドナルドの直営店の店長は「名ばかり監督者」職として、東京地裁
は未払い残業代の支払を命じた。(08、1,28)判決は、管理監督者には
重要な職務と権限があり、賃金などの待遇も一般の労働者より優遇されている
ことが必要だとした。
― 店長を巡る各社の対応状況 ―
- 店長を非管理職にし、残業代を支給/セブンーイレブン・ジャパン(3月)、青山商事(4月)、AOKIホールディングス
- 制度見直しを検討/すかいらーく、ロイヤルHD
- 管理監督者の範囲を縮小/ミドリ電化(未払い残業代37億円支給)
○就業規則に、特に、「休職」・「解雇」・「懲戒解雇」・「服務規律」の条文を
時代と企業の現実に対応する内容を有した条文に補充追加と整備が急務です。
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